株式会社グリーンマンBLOG

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蛎太郎の独り言・今年のカキは?

津波の影響で、沿岸部は壊滅的な被害がありました。
そんな中でも、昨年末から少しずつではありますが、県内産の出荷が始まりました。
シーズン当初は、広島県産、能登産しか流通していませんでしたが、最近は地元産が見られる様になりました。
我、鳴瀬産も始まりました。
漁師のおんちゃん達は、口を揃えて

「今年のカキは、身入りも良いし、旨いよ!」
「海が変わったからな!」

この辺りの湾内は比較的水深が浅く、海底にヘドロ状の泥が堆積していました。

「津波で、海底がすっかり変わったよ!底の岩が見えるんだ」
「潮通しも、だいぶ変わったな」

身入りは上々、実際、食べてみると味の濃さは、やはり天下一品です。
あくまでも私的感想ですが、鳴瀬産はカキ特有のエグミが少なく、
濃厚さが際立って感じます。

蒸して良し、揚げて良し、炒めて良し、ん~最高!
文章で伝わらないのが残念でなりません。

一度、お試し頂けると幸いです。

漁港整備をはじめ、復興までの道程は長いとは思いますが、
ともに海に生きる者として精一杯の努力を続けて参ります。

蛎太郎の独り言・カキ殻マリアージュ

宮城は、ホント良い処なんです。
海の幸は勿論、山の幸も豊富。適度に都会で適度に田舎。
流石、伊達政宗が作ったGOODな立地です。
僕達は、その恩恵を受け暮らしています。
先日、取引先や友人達と食事会を開きました。
テーマは、「カキ殻マリアージュin宮城」(笑)
勿論、メインディッシュは鳴瀬産の牡蠣!
鳴瀬は、蛎右衛門の原材料である漁港名です。

殻付き牡蠣を蒸しから始めました。
僕のお勧めは何と言っても蒸しですね。
スダチやレモンをちょっと絞り、熱々を一気に頬張ります。
皆、平均10個は食べたでしょうか・・・
酒は勿論、宮城の雄、一ノ蔵さん。
今宵は、「大和伝」をチョイス!

昨年末、循環型農業の在り方に賛同頂き、土作りの一環として一ノ蔵さん所有の圃場のほとんどに「蛎右衛門」を施肥して頂きました。
今年の秋には、それで作られたお酒が飲めると思うと今から楽しみでなりません。

次は、牡蠣フライ!大振りのモノと小振りのモノを2つ重ねて俵型につくります。
少し高温で外側はカラッと中身はレア状態。余熱で火が通る位が丁度良いですね。
貝柱が2つあるので食べ応えも十分!
最初の1個は、是非、熱々を塩でお試し下さい。最高~!

付け合せは、蛎右衛門で作った群馬産キャベツ、超~甘いです!
トマトは、地元の篤農家筆頭「デリシャスファームさん」、味が濃く間違いなく旨い!
これまた蛎右衛門のユーザーです。
お米は加美町の鈴木さんが作った「ひとめぼれ」粒が大きく、粘りと甘みが絶品です。
これまた蛎右衛門のユーザーです。
味噌汁の具は、茨城県「すがの農園さん」が作った大根・人参です。水々しく、何より質量があります。近所のスーパーで売っているモノとは明らかに違います。
これまた蛎右衛門のユーザーです。
勿論、味噌は「仙台味噌醤油さん」、コクの深さは仙台人の故郷の味です。

デザートは、青森県弘前市の「佐藤農園さん」のりんご、酸味と甘みのバランスが良く、品評会で3年連続、賞を取るだけはあります。皆さんその重さに驚かれます。
これまた蛎右衛門のユーザーです。
地元の「及川農園さん」の作ったキウイ、実の詰まり感がとても良い!
これまた蛎右衛門のユーザーです。

美味しい食事は、皆を笑顔にします。
牡蠣とカキ殻肥料で作ったお米や野菜、果物・・・
友人の1人が言いました。
「正に・・・カキ殻マリアージュ」
※マリアージュとは、結婚の意・・・

実は、今日の食材は全て頂き物です(笑)
サラダ油とパン粉は買いました。(大笑)

これからの季節、全国各地のユーザーさんから、メッセージ付きで様々な野菜・果物が届きます。
「今年は、こんなに良いモノがとれたよ!」
「送るから食べてみて!」
この仕事の特権です。
生産者の笑顔は、大好物です!

蛎太郎の独り言・旨いのには理由(わけ)がある

石巻湾は、カキ養殖と同時に稚貝の大生産地です。ホタテ貝にカキの稚貝を付着させ種カキ(通称:宮城種)として全国に出荷され、出荷風景は壮観です。
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この種、実に優秀な種であり、北海道・岩手・石川・三重・広島・岡山・熊本他、日本全体の70%以上の種カキが、ここで作られていると言うのです。
植物でも良い苗は、丈夫に育ちます。全くこれと同じ事だと思います。
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以前は欧州にも輸出もされており、1960年代フランスかきの全滅の危機を救ったのも「宮城種」だそうです。
他の地域の種カキをいくら試しても駄目でしたが、「宮城種」はそのまま成長しつ続けたのです。

他の種カキに比べ環境への適合能力が優れているのでしょう。
鳴瀬産のカキは見た目も違います。
多層質の間隔が狭く、殻も他と比べて圧倒的に薄く柔らかいのです。鳴瀬産は地面に置いてかかとで強く踏むと粉々になりますが、2、3年モノは、踏んでもそうはなりません。

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1年で出荷出来る大きさまで成長するイコール、栄養が豊富である以外考えられません。

仙台市内の有名飲食店が、鳴瀬産指定の店が多いのも頷けます。

肥料の原材料となる殻の選定は、鳴瀬に決定です。

私達は鳴瀬産の殻を全量、有価にて購入し肥料化しています。

蛎太郎の独り言・牡蠣(カキ)のおはなし

カキ殻を仕事にする訳ですから、カキの事も知らなければ・・・
そんな想いから、全国の産地へ行きまくると同時にカキについて調べまくりました。すると今まで知らなかった事が沢山解ってきました。

日本のカキの生産量は、年間約20万トンその内、広島県が半分の約10万トン。
我が故郷、宮城は、全国第2位の約5万トンの生産をしています。

宮城県沖は、暖流と寒流がぶつかり合う豊かな漁場です。
リアス式を形成する湾内は、沢山の生き物を育む母なる海です。

特筆すべきは、石巻湾の形状でしょう。
湾の開口部は南向きに位置し、プランクトンの発生する夏、南風が吹き、北上川、鳴瀬川、吉田川の3本の河川が流入する三陸きっての富裕な漁場です。

この形状が、様々な生き物たちの栄養の源となるプランクトンには、大きく影響します。
毎年、夏になると強い南風が吹き、これが絶妙な汽水域でプランクトン滞留させる神様が与えてくれた奇跡の湾なのです。

東北地方を南北に走る奥羽山脈は、世界遺産にも登録された白神山地に代表される落葉広葉樹群の濃い緑に包まれています。(関東以西は常緑広葉樹林)
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山と海は対極に位置付けられがちですが、
実は互いに大きな影響力を持ちます。

秋になると一斉に落葉した広葉樹は、土中の様々なミネラルと融合しながら腐葉土としてミネラル分が成熟されていきます。
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地下を脈々と流れた養分は、やがて湾に辿り着きます。
これらがカキを含め生態系の源とも言えるプランクトンのエサとなるのです。

漁師さん達が、雨の多い年はカキの出来が良いと言うのも、これと繋がるのでしょう。

リアス式海岸、流入する川、森の豊かさ、日本地図を見てこのキーワドで形成する場所は、決まって魚介類が旨く、街も繁栄しているのが解ります。

石巻港、塩釜港には、一年を通じ様々な魚種が並びますので、僕は幼い頃から魚介類には目がありません。

一口にカキと言っても真カキ・平カキ・丸カキ・岩カキと種類は様々です。

宮城県には、多くのカキ場が存在します。
どの様な違いがあるのか?殻の行方は?

好奇心旺盛な僕は、それらを一つずつ全て回ってみました。各地での漁師さん達へのヒアリングが、一番の近道だと考えたからです。

基本的に質問は2つ・・・
①殻の行方は?
②県内で一番旨いと思うカキ場は?

①については、後ほど詳しく書きますが、カキ殻処理については皆さん共通して困っている事が解りました。

また、②について興味深い事に気付きました。
大抵の漁師さんは、②の質問をすると、決まって

「うちのカキが一番だな!」

計ったように同じ答です。(笑)

「じゃあ、2番目に旨いのは?」

「やっぱ、鳴瀬かな?」

この答が圧倒的に多かったのです。

始めから一番だと主張する人も多くいました。
鳴瀬とは、石巻湾の南側に位置する漁港の名前です。

なぜ鳴瀬なの?

どうしても知りたい!何か理由がある筈だ!

聞いて聞いて聞きまくり、答が見つかりました。

「場所がイイんだよ!」

「鳴瀬川と吉田川が近いだろ!」

「海流が抜群なんだよ!」

「鳴瀬はシンコ(一年モノ)だからな・・・
 日本中探してもシンコは、何箇所もないよ!」

通常、カキは2年モノ、3年モノが一般的です。それほど成長が遅い生き物なのです。

それに比べ、鳴瀬産はシンコが獲れる。
やはり立地の優位性なのか・・・

早速、鳴瀬に行きヒアリングの開始です。
ある漁師さんが、忙しい作業の中、手を止めて教えてくれました。

「全ての答えは、森と川だよ!」

漁師さん達のなかでは、全て周知の事実だったのです。

その頃には、県内のカキ場を回っていると、顔見知りの漁師さんが増えてきました。

「また来たのか?頑張れよ~!持って行くか?」

お土産でカキを頂きます。
ある日は、各所で3つも4つも・・・(総重量4kg・笑)

スタッフの提案で食べ比べしてみる事に・・・

「違うよね~!」
「うん、絶対違うよ!」

浜毎に確実に味が違うのです。
育った環境により明確な違いに驚きました。
何キロも離れてないのに・・・

オイスターバーで食べ比べセットの如く違いは歴然です。

内海(うちうみ)でいつ頃まで育てたか?
外洋で育てたモノのか?

自然界は不思議です。

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